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しなやかな組織づくり~次世代の経営・マネジメント~ 第2弾

戦略って何ですか?

戦略の主語は何か?

ビジネスの世界において「戦略」という言葉は頻繁に耳にします。例えば「○○戦略本部」のように組織の名称になっていたり、 会議において「もっと戦略的に展開するべきだ」などという言い方をしたり、といった具合です。 やや硬い話ですが、今回は「戦略って何ですか?」を問うことにしましょう。 このように改めて問われると、言葉に詰まってしまう人もいるのではないでしょうか。 上記のような使われ方だけ耳にすると、ネガティブな表現をすれば「行き当たりばったりにならないように、よく考える」という意味? と思ってしまうこともあります。

ある辞書には「戦争・闘争のはかりごと。戦争の総合的な準備・計画・運用の方策」とあります。 「戦」という文字がある通り、元々は戦争用語だということでしょう。 戦国武将になぞらえるなら、天下統一がビジョン、どの国と戦っていくのかを表したもの「戦略」、ひとつの国とどのように戦うかは「戦術」、 ひとつの戦の個々の局面は「戦闘」といったことになるでしょうか。 ビジネスにおいて「戦略」の定義は人によってまちまちですが、 かつてChandler(1962)は、戦略とは「企業の基本的長期目標と目的設定、かつ行動コースの選択、 これらの諸目標遂行に必要な諸資源の割当て」であると述べています。 高橋(2006)は、経営学においては「経営資源の意図的な傾斜配分」を意味するとし、 経営コンサルタントが使う場合は「中長期的に維持可能な競争上の優位性を築くための、一連の具体的計画」を意味していると述べています。 ざっくり言ってしまうと、組織が注力したい事業の方向性に向けて経営資源を突っ込んでいくことや、その計画だといえそうです。

その戦略は行動を変えるか?

さて、ここで考えたいのが戦略という言葉を使う際の「主語」です。 既述のように戦国武将になぞらえたのと同様に、経営を主語にすると「経営戦略」となり、 事業や、営業・人事などの機能は戦術の位置づけになります。「営業戦略」「人事戦略」のように営業部や人事部を主語にすると、 おそらくその下位概念の課やチームの活動が戦術という位置づけになります。 要は主語である上位概念から下位概念まで連鎖されているということです。 直観的に当たり前だと感じられますが、企業や経営のビジョンから戦略へ、 そして戦術、戦闘といった具合に具体的になっていくものまで、本来は連鎖され一貫性があるはずのものです。

もうひとつ重要なことは、ビジネスにおける私たちの行動は戦略に沿っているものになっているはず、ということです。 戦略を立案することによって具体的な行動まで影響が及んでいるということです。 さて、みなさんのその戦略は行動を変えるでしょうか? 怖い言い方をすると、戦略を掲げているだけで、下位概念である具体的な思考や行動に影響してなければ(変わっていなければ)、 戦略が達成されることはありません。逆の言い方をすると、戦略の過ちは戦術で補うことはできません。 オペレーション的な業務がうまくいっていても、展開している事業の方向性が間違っていては、 期待する成果には及ばないということになります。

著:日本能率協会 KAIKAプロジェクト室 山崎賢司

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