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しなやかな組織づくり~次世代の経営・マネジメント~ 第1弾

利益を出すのは開いた組織という時代

変化・進化を起こしていく経営の考え方であるKAIKAは、外との接点を重視しています。
それをKAIKAモデルの中では「組織の広がり(社会性)」と称しました。
「組織の広がり」には「多様性を活かす」「組織外へ広げる」「視線が市場と社会へ向いている」という大きく3つのポイントが含まれています。 組織内外はリソースやチャンス、あるいは気づかない種などが無数に存在します。 その一つひとつを点と考えた時、点のままでは眠ったままであるものが、ほかと触れることでつながり、価値を生み出す可能性を持っています。 「組織の広がり」は点を価値につながる線に変換していく可能性を起こす要素といえます。

1つ目の「多様性を活かす」とは、組織内外の異質さや多様性を享受し、さまざまな個性が生きる状態をつくることです。 初めは衝突や葛藤も多く起きるでしょうが、それを乗り越えることで発見や進歩が生じます。

2つ目の「組織外へ広げる」は、組織の開放性とも言い換えられます。外と触発できるかどうかは、開かれた姿勢がないと難しくなります。 ありがちなのは、「何のために出かけているかわからない」と管理サイドが制約をかけてしまうことです。 外部との接点は必要だと頭ではわかっていても、一見「無駄」と見えてしまいがちな動きは、短期的な成果を求める思考と相いれない部分があります。 一般的に、既存のサイクルができている仕事はPDCAをしっかり回して徹底して進めていくことが必要です。 他方、新規や変革系の仕事は、まだ計画(P)にもおちていない段階で「点」を増やし、触発を起こしていかないと、可能性を広げることができません。探索的な動きにならざるを得ない性質を持っています。

3つ目の「視線が市場と社会へ向いている」は、現在ならびに将来の軸で、顧客・市場さらには社会情勢まで視野を広げて考えることを指しています。 「それは10年後どうだろう」「50年先の社会情勢から巻き戻すとどうだろう」といった複眼的な議論をすることができると、組織の変化対応力も高まっていくはずです。

「提供する価値」から「関わる価値」へと時代がシフトしている中、「組織の広がり」を高めることが、事業の持続・発展性を高めることになります。 一つは新規・変革につながる「触発」の可能性をいかに持てるかという点において。 またもう一つは顧客や社会の求める価値を共につくる基盤を持てるという点において。 社内論理だけで動く「閉じた組織」になってしまうと、こうした点に気づくことができず、顧客や社会が求める価値とズレが生じてしまう危険が大きいと言えましょう。

 

新時代の組織をマネジメントするのは『つながりをつくる人材』

点と点の触発から、新しいことが起こる可能性は生まれる――といっても、そう簡単にはいきません。 つながりをつくる人材がいないと、実際コトは動かなくなってしまいます。  これまでは一部の突出した人がつながりをつくる人材とみなされてきた節があります。 しかし今後はマネジメントの役割のひとつに、つながりを生み出す環境づくりが要されてくると言えましょう。

環境づくりには、大きくハードウェア側面ソフトウェア側面ヒューマンウェア側面の3つがあります。  ハードウェアとは、職場を見渡して物理的に目に入る設備や空間環境のことで、ゾーニング(配置区分)、スペース、動線設計、機器、設備などがこれにあたります。 人の対流が起こりやすい場所をあえて設けてコミュニケーションを促進させたり、座席配置を物理的に組み合わせたり、工夫一つでつながりが生まれやすくなります。

ソフトウェアとは、職場内の文書やコミュニケーションツール、掲示物などを指します。それが組織内にどのような情報の流れを生じさせているかがポイントです。 伝達なのかコミュニケーションなのか、目的に応じたツールの選定や活用が、つながりを活性化させることになります。

ヒューマンウェアとは、人の行動、言動を指します。上司が部下に、部下が上司に、あるいは同僚同士で、どういう会話がなされ、 どのような行動が示されているかがつながりの形成にも大きく影響します。無意識の上司の一言が、部下の行動を制約する場合もあります。

ハードウェア、ソフトウェア、ヒューマンウェアの3つは、相互に関係しています。どれか一つだけを変えたらいいというものでもありません。 特にヒューマンウェアによってせっかく用意されたハードウェアやソフトウェアも形骸化しがちです。 開放型組織におけるリーダーは「マネジメント」に加え「オーガナイズ」する役割が必要になってきます。 関係者の「目的共有、腹落ち、結束感、モチベート、自信、共感、コミット」を促しながらプロジェクトを前に進めるための「計画、調整、巻き込み、フォロー」を進めること、 この過程でつながりを広げたり取り込んだりすることが必然的に生じてきます。 そしてこのプロセスのなかで組織の活性化や個人の成長、ノウハウ蓄積が起こってきます。
循環状態の中で価値創出を目指していくならば、組織編成やマネジメントのあり方を「開放型」という観点から再考してみることをお勧めします。 するとおそらく、つながりや触発を起こしやすい環境づくりに視点が向くのではないでしょうか。 その時に、現在の職場・組織をこの3つの観点で振り返ってみると手掛かりが見えてくるかもしれません。

著:日本能率協会 KAIKAプロジェクト室 山崎賢司

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