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しなやかな組織づくり~次世代の経営・マネジメント~ 第1弾

組織は「管理」から「シナジー」へ

マネジメントのひとつの側面として「管理」があります。PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルをしっかりまわし、 設定した目標に対して最小限の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報など)で最大の成果を出していくことはマネジメントをしていく際の重要な事柄です。

この場合、目標に対する綿密な設計図を描けることが重要であり、その設計図通りにコトが進むように管理していくマネジメントが重視されます。
しかし、過去の延長線上にない新たな価値創出を志向するときには、予測や意図におさまりきらない変革が必要になります。 創造性やイノベーションが求められる局面では、創造型・創発型のマネジメントが必要になってきます。

組織は「管理」から「シナジー」へ

 

創発とは「部分の性質の単純な挿話にとどまらない特性が、全体として現れること」を指しますが、 それは人の知識やノウハウ、場といった自律的な要素を「つなげる」ことにより、ある種の化学反応が起きる状態です。

社会システム論を専門とする東京工業大学の今田高俊教授が指摘する「シナジェティックス」という考え方があります。 要素が相互作用しあう中から新たな秩序や特性が生まれてくるというボトムアップの考え方で、 「サイバネティックス」というトップダウンで組織を管理・操縦することと対比されます。

たとえば「一冊の問題集を一カ月ですべて終わらせる」というようなテーマなら、作業時間の見積もりと納期を配分計算して計画が立てられます。 しかし、「新事業をつくる」ような、見積もり時間が見えづらいテーマの場合、はじめから計画がたてづらく、もし計画を立てられたとしても、 かえってそれが自由な発想や行動を制限してしまう可能性もあります。

そのときに「シナジェティックス」の考え方で臨むとすると、まず行うのは様々な相互作用が起きる環境づくりです。 相互作用が起きる場からアイデアやネットワークがたくさん生まれてきます。

この場合、組織のリーダーは、全体を設計し主導するよりも、シナジーが起きるように介入したり、外へ開かれた行動を奨励して、内外の知恵がつながるためのリード役になっていく方が組織力を高めていけることになるでしょう。

もちろん、このやり方では時間もかかり、目標に満たない行動で終わってしまう可能性もあります。段階ごとにPDCAを回し、マイルストーンを決めて積み上げていくマネジメントも同時に必要でしょう。ただし、相互作用を起こすための行動を奨励すること、また中長期と短期と両方の時間軸で俯瞰していくことは、組織が変化に対応し続けるためにも大事なポイントです。

著:日本能率協会 KAIKAプロジェクト室 山崎賢司

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