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研修ネットコラム

著:日本能率協会 KAIKAプロジェクト室 山崎賢司

評価の食い違い

 組織の課題をお聞きしていると、よく聞かれることは大きく2つあるように思います。ひとつが、マネジャーがマネジメントの業務をよく理解していないこと。 その場合の多くはマネジャーが担当者の仕事をしてしまっています。そしてもうひとつは、評価の食い違いです。

 たとえばテーブルの上に水が半分入ったコップがあるとしましょう。それを「半分も入っている」と表現するでしょうか、「半分しか入っていない」と表現するでしょうか。 事実は「半分入っている」だけです。マネジメント研修などでは頻繁に「意見」と「事実」を峻別して聴き分けることの重要性を述べていますが、 この事例においてもどちらの言い方にも発信する人の意図が加わっており、文字通りに聞くとその印象は大きく変わってきてしまいます。

 みなさんの組織の人事評価の面談においては、似たようなことが起きていないでしょうか。 担当者である被評価者は「こんなにもやりましたよ!」と主張するものの、評価者であるマネジャーは「これだけしか出来なかったね。」とコメントするといった具合です。 ここまで端的ではないにしても、被評価者の「評価が低すぎる不満」と評価者の「担当者の自己評価が高すぎる不満」という真逆の不満は、 私たちの経験上においてもよく聞かれる話です。なぜこのような事態が散見されるのでしょうか。

 原理原則という話からは、まず「目標と評価」は分離不能なひとつのセットであることが基本です。つまり目標があるから評価が可能になるということです。 私は目標という言葉が違う意味合いで(標語のように)聞こえる場合があるので、よく「期待値」と呼んでいます。 つまり何が期待値なのかを事前に合意していないと、評価の際に平行線をたどってしまうことになるのです。 評価に食い違いが生じる原因のひとつは、期待値が曖昧であったり、そもそも期待値について話をしていなかったりすることです。 曖昧な期待値からは曖昧な評価しかできません。期待値と評価を一体として捉えることによって、実務のプロセスにおいても、 活動の結果あるいは進捗と当初の期待値とのギャップを把握することが可能になります。 そしてこのギャップを埋めていく指導や育成などの活動がマネジメントの重要な機能のひとつだといえます。

 もうひとつ重要なのは「納得性」です。公平かどうかではなく納得できるかどうかです。ロジカルに期待値を定量化し、 達成していない事実・評価を知らしめて公平を期すことがマネジメントや評価の目的ではないということです。 次に、何をどうすれば良いか?どんな能力スキルをどれくらい高めたら期待値と成果を高められそうかが「わかる」ことが「納得」につながるのではないかと思います。

 そう考えると、評価面談だけがフィードバックの場と捉えない方が良さそうです。いかにOJTや日常の中に指導や育成が内包され、 また期待値や成果に対する“現在の状態”について、お互いに確認できるようなコミュニケーションが埋め込まれているかが重要なのではないでしょうか。



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