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研修ネットコラム

著:日本能率協会 KAIKAプロジェクト室 山崎賢司

人中心の業務分析

 組織において、特にものづくりの会社などでは、業務分析や業務プロセスの改善を行ったことがない現場は少ないのではないでしょうか。 業務から、作業、動作に至るまで細かく精緻に分解していき、何にどのくらいの時間がかかるのか?それを何分何秒短くできるのか? そのために、どういうレイアウトにしておくべきか?何をどこに置いておくのが最も適切か? といった改善を積み重ね、整理・整頓・清潔・清掃・躾に代表される5S活動といったもので徹底していく・・・。 こうして効率と生産性を高める活動は、これまでもこれからも必要な考え方・取り組みといえます。

 生産性はざっくり言えばアウトプット/インプットです。インプットにはひと・もの・金・情報・時間など、投入する経営資源が入ります。 したがって、業務分析によってかかる時間や工数などを少しでも減らすことができれば、分母であるインプットが少なくなり、生産性が高まったことになります。

 一方で、異なるアプローチで生産性をあげることができた部品メーカーもあります。この会社では、創業以来、長らく大口ロットの受注に力を注いできました。 ひとつの部品を大量に作ることになれば、設計や開発は一回で済みますし大量の生産となれば、一個あたりにかかるコストは下がってきます。 もちろん売値も安くなり利益率は下がりますが、会社全体からみれば安定的な構造になっていきます。

 ところがあるときこの会社は、敢えて一品受注を増やすことにしました。いわゆる多品種少量生産へのシフトです。 そうなると売値も高く設定できるので、一個あたりの利益率は高くなります。 しかし、一品ごとに設計・開発、あるいは現場の製造工程の組み換えなどを頻繁に行わなければなりません。当然効率という意味では生産性は落ちてしまいます。

 この会社が一品受注へシフトした理由は、ニーズあるいは顧客への対応上そうせざるを得なかったわけではありません。利益率を高めたかったわけでもありません。 社長さん曰く、「ずっと業務のプロセスを見ていて、人が『考える』という工程が、最もモチベーションが上がっているポイントだと気づいた」というのです。

 一品オーダーが入ってくるとその度に、製造と設計で「そもそも技術的に出来るのか?」「いつくらいまでに?どのくらいのコストで出来そうか?何がネックになりそうか?」 という議論がなされます。この間、製造ラインは動いてないのですから、効率的ではありませんし、集まって議論をする手間も、試作品をつくる手間もかかります。 しかし、これらの議論は技術者や現場の方々のモチベーション向上につながったといいます。人は「考えたい」生き物で、考えること自体に喜びを感じるものなのでしょう。 この会社は、結果として利益率はあがり、従業員のモチベーションはあがり、現場の技術力もあがり、業績もあがるというハッピーな状態になったといいます。 事業構造自体も(10年以上かけて)大口:小口の割合が8:2だったものを2:8へとシフトさせることに成功しました。

 生産性の公式、つまりアウトプット/インプットを考えると、通常人のモチベーションが入ることは想定できません。 それは定量的に測りにくいものですし、不確実性が高いからです。 しかしこの事例からわかるように、業務分析をする際には、どの工程で人がわくわくするのか?モチベーションが向上するのか? という「人」を中心に据えた目で分析をしてみると、違った生産性の向上が見えてくるかもしれません。



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