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研修ネットコラム

著:日本能率協会 KAIKAプロジェクト室 山崎賢司

リーダーは、曖昧な領域に「テーマ」を立てる!

 前回のコラムではビジョンについて触れ、『本来はビジョンやミッションを起点として、中長期の戦略、事業戦略などは一貫性をもち連鎖しているものです。』と述べました。今回はその続きです。
 ビジョンや理念は一致しているはずなのに、それが組織の機能や部門に落ちて方針や戦略となり、さらにその実行段階となると、全体最適と部門最適が一致していなかったり、手段が目的化されてしまったり…という話がよくあります。特に手段の目的化はコトの大小にかかわらず、経営レベルでも、作業レベルでも起きてしまいがちな事象です。
 例えば営業系部門の「粗利益を〇%以上にする」という目標や、人事系部門の「女性比率を〇割以上にする」といった目標です。それらは本来、何らかの会社全体の目的に資する、部門レベルの目標のはずなのですが、いつしか「顧客の質や翌期のことは考えずに、今期の粗利を〇%以上にしさえすれば良い」「能力やキャリアや成果は度外視して女性比率を〇割にすれば良い」という思考になっていたりします。「ところで、それは何のための目標なのですか?」という質問をすると、答えられなかったり「えーっと、まぁ経営全体の中のひとつの目標なので…とにかくやらなきゃだめなのです。」という曖昧な答えが返ってきたりします。手段が目的化されたひとつの例です。
 上記のようなことは決して珍しいことではなく組織の中ではよく見られる事象です。人材育成面からこれらを防ぐため、マネジメント研修のプログラムの中で行われるのが「目的の確認」です。特にマネージャー層やリーダー層といったいわゆる中間管理職層に対しては必須のコンテンツといわれています。目的を確認する思考やステップが抜けたままにマネジメントをすると、(つまり目的をクリアにしないままに上位の指示や方針に従って活動していると)途中で大きな手戻りがあったり、既述のような、部門最適が全体最適になっていなかったり、ということになってしまうからです。

 しかし一方で、マネージャーやリーダー層からは「上位からの指示が曖昧で何をやったらいいかわからない」という声や、「やってみたら、上から『ちょっと違う』と言われて、またイチからやり直しになった、勘弁してくれ。」「最初から『コレとコレを〇%にしてくれ』『これを最優先の優先順位にしてくれ。』という明確な指示を出して欲しい!」といった嘆きの声(と言いますか愚痴と言いますか…)がよく聞かれます。
 それらの声は一見ごもっともと言えそうですが、本来のリーダーやマネージャーの役割から考えると、少々手厳しいですが甘えです。明確な目的やテーマがないと動かない組織だとすると、経営者が全ての業務や部門、チームや現場に対して、その目的や目標を設定し説明しなければならなくなります。会社全体の進むべき方向性について、経営者や上位層からマネージャーに落ちてくるのは「抽象的な指示や方向性の明示」なのはあたり前で、それをしっかり意図を汲み取り、咀嚼したうえで、自部門・自チームでは「これを目標・テーマにすべきだ!」と言い換えなければなりません。その意図を汲むセンス、咀嚼するセンス、テーマ設定するセンスが問われているのがマネージャーなのです。私はこれを「目的化力」と呼んでいます。
 いわば会社組織は、外部環境や内部資源などに鑑みて何をすべきか自ら考え、実行しなければならない存在です。学生の試験のように、解があるものが出題されたり設問が用意されている世界ではなく、曖昧な領域にテーマを設定し、あるいは設問自体を設定していくものです。そして、その中核にあるのはマネージャー・リーダー層だと思うのです。



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